沖野俊太郎自ら、先日発売になったリミックス・アルバム『Too Far』(F-A-R Remixes)に参加していただいたリミキサーの方々にインタビューしてみようじゃないの? 沖野にしか聞けない事もあるんじゃないの? と云う企画の第一弾。
今回は極上のサイケデリアでアルバムの締めを飾る「When Tomorrow Ends」Speakeasy Mixにて見事な健在ぶりを十二分にアピールしてくれた、沖野にとっては90年代からWonder Release Records所属の後輩でもあり、親密なクラブ・パーティー仲間でもあったシュガープラント小川伸一(ちなみに公式(笑)に沖野のことを「オキシュン」と呼び始めたのは確か小川くんだったかと・・。)と「Welcome To My World」Welcome Home Mixでは「あぁ泣きのYODA節」全開、ストイックなナンバーが並ぶ中にDJらしい軽さと浮遊感で彩りを添えてくれた与田太郎。言うまでもないが、彼は元Venus PeterのマネージャーでありWonder Release Records主催、そして90年代中頃から2003年頃まで続いた天国、はたまた地獄?のパーティー・ライフへと我々を引きづり込んだ張本人でもある。
そんな2人に沖野がインタビュアーとして改めて話を聞いた。与田さんとは最近仕事がらみでちょくちょく会っているが、小川くんときちんと話するのは10年振り?とかそんな感じである。読み手によっては「仲良し3人組の他愛もない雑談」のように映るかもしれない。しかしシュガープラント小川が多くを語る!なんて既存の媒体じゃありえないし、リミックス制作秘話、そして3人とも大人になった今「それぞれの正直さで過去から現在までを飾ることなく語り合った記録」だと思って気軽に読んでいただきたい。さらに90年代からのインディー、クラブシーンについても多く語られており、その辺りを知らない世代・もしくは知り得なかった世代にとって何か新しい発見でもあったりしたら?幸いであります。
与田沖野くん、*ココロコいたよね? 歌舞伎町のさぁ、*イクイノックスがやってた。いなかったか。
沖野いたよー。
与田*Xenonいた?*koxboxの。
沖野うん。
与田笑)いたよね。
小川もう毎週行ってた。
沖野小川くんたちも初めから来てたんだよね。
小川うん。
与田だって1995年から3年間はほぼ毎週末、全部行ってた。
小川そうだよね。行く行かないじゃなくてどこに行く?ってだけだったからね。
与田行くことは決まってたよね。
小川途中から選べるようになったんだよね、前は1個しかないから絶対それ行くって感じだったんだけど。
沖野ちょいちょいテクノの方も行ってたよね?トランスじゃなくてさ。
与田Club Venusとか?リキッドルームの。
小川それ与田さんが独りで行ってたんだよ。確かこの人。
沖野そうそう、新宿のオートマチックとかさぁ。
与田俺はリキッドルーム以外行ってないね、新宿は。あとは六本木それか野外。
沖野まぁやっぱ*Speakeasyだね、一番覚えてるのは。
与田・小川そうだねー。
小川あと朝からやってるとこ。なんだっけ?
与田マニアックラブ?
小川マニアックじゃなくて六本木の。ヨークとか。
与田あ~Isn’t itね!
小川そうそう!Isn’t it。 (笑)朝から遊ぶ時代はあった。
与田ミコとかヨークとかね。
小川遠い記憶ですよ。
与田相当楽しかったけどもう昔話だね。20年前だもんね。
沖野そうね。
小川全然そんな気しないけど。
与田昨日のことだけどね。感覚的には。
沖野うん、こうやって話すとね。
小川ほんとほんと。
沖野じゃあそろそろちゃんとインタビューしようか?まぁこうやってしゃべってる感じでいいからさ。で、今回のリミックス、シュガープラントなんだけど小川くん独りでやったってのは意味あるの?
小川あー、まぁリミックスってなると俺がやって、ちなっちゃんにはベースをファイルで送ってもらったりとか。
沖野今までリミックスってあったっけ?
小川ちょこちょこはあった。うんあった。
沖野いつごろ?
小川うーん、90年代とか。えっと、Color Filterとか。
与田あー、カラーフィルター!恒吉くんの。
沖野カラーフィルターね。
小川あとは・・・うーん、確かにそんなやってないね。
沖野意外とみんなやってないのよ。
小川今回はバンドとしてもらった感じがしたんで、考え方として起点がすごく楽というか。それで考えればいいかなって。
沖野うん。で、今回頼んだ原曲(When Tomorrow Ends)があまりシュガープラントとは共通点があるように感じない曲だったから初めどうだったのかな?って。
小川いやなんか、嬉しいな って思いつつ、じゃあこの曲って2曲候補出してもらってどっちかなぁ?って。で、あの曲はワンコードでいけるなっていうのが見えたんで。しかも2週間だったでしょ?締め切りが。なのであんまり悩まないでサイケデリックにいっちゃおうー、みたいな感じになっていったの、聴いてて。それでこの曲ってどういうことをやりたい曲なんだろ?って。解釈があれだったんですけど、ちょうどF-A-Rsのclub asiaワンマンに行って。
沖野あれ完成前だっけ?
小川うん、話もらってすぐだったかな。で、ライブだと最後のほうでカオスを作り出す曲なんだなってわかって。しっくりきて。じゃあ俺なりにやってみようって。うん。
与田まさにシュガープラントとしか言いようのない仕上がりになってるもんね。
沖野うんうん。
小川うん、ホントはいままでのイメージで言うとメロディーの綺麗さ見たいのをシュガープラントで増幅してっていうのが課題だったんだけどお題がそっちだったんで、さぁどうしてやろうかって(笑)むしろ燃えた感じはあったんだよね。
沖野小川くんてやっぱり女性ボーカルの印象がすごい強いからこういうがっつり男性ボーカルの曲って初めてだったのかな?って。
小川そうそう、そうかも知んないっすね。
沖野それはそれで新鮮だったりしてくれたのかな?
小川もうこの話もらった時にオキシュンのバックをシュガープラントでやればいいかなって、すぐ思いついたの。したらもう盛り上げるしかないみたいな。(笑)
沖野(笑)
小川それがとっかかりというか、そこはもう長い付き合いでなんかこうヤル気になる要素、どんなんなるんだろうな?って自分でも楽しんでやってて。で、ファイルもらって歌だけにして聴いてて。歌詞とかもだんだん聴こえてきて。で、歌詞にひっかかって色々やってた。例えば「ストリングスのおおげさな♪」っつったらストリングスを・・・(笑)みたいな事やってた。
沖野・与田(笑)
小川面白くてそれが。あと「カモン、カモン」って2回くるんだけど1回目はいかないで2回目だけいくとか。
沖野かけひきみたいな?
小川バンドだって感じで。
沖野セッション?
小川うん、セッションセッション。オキシュンとセッションしてる感じで向き合う感じになって。何度も聴いてるから英語っぽく聴こえてた歌詞も内容がわかって。
沖野まぁそんなに意味ないけどね。
小川散文なんだけど、多分これパーティーが終わって*Speakeasyからの帰りオキシュンがひとり彷徨ってる間に脳裏に浮かんでる街の感じを描写してるんだな、っていう画になって、なんかしらないけど。(笑)
沖野あ、この曲の出だしの「パーティーは終わった」ってフレーズはもうあのお祭り騒ぎは終わった って意味で書いたんだけど・・そこ以外はそんなに間違ってない っていうか「もうコレいつ終わんの??」みたいな歌だから。
小川ワハハー(笑)
与田バッチリじゃん(笑)
小川ちょっと混乱もしてるなっていう。
沖野「もういいよぅ」ってこといっぱいあったよね・・。
与田それを小川くんが読み取ってるのもすごい。
小川もう何百回って聴いてたから色々見えてきちゃって。で夏の歌だったりするんだけどオキシュンがロングのダウン着てて。(笑)
沖野・与田着てた着てた!(笑)
小川あれで六本木歩いてる画なんですよね。
与田それまさに俺たちが見てきた情景だよね。
小川ちょっとどうしようかな~って軽めのバッドトリップ。
一同(笑)
小川はじめはいろんな思いがあって*アシュラ、*パット・メセニーみたいに流しときゃイケるな なんて思ってたらBメロからシャウト気味に入ってくるから、コレに答えないといけない。ってことになって。(笑)
沖野あそこがすごい気持ちいいんだよねー。飛び立つ感じで。
小川そうそうそうそう。いつものパターンでいくと前半のまま最後まで押し切ってカオスになれば ぐらいで想定してたんだけど、こんなにグッと来たらドラム入れなきゃな(笑)って言う感じになって。
沖野ドラム入れる気もなかったんだ?
小川それぐらいのとこから始めてるから。うん。だからカタチとしては導かれてってのがホントで。
与田対話した感じね。
小川で、「レイザーに誘導されたメロディー」ってきたらもうSpiritualizedでしょ?って。
沖野そうだよー。(笑)
小川とすると「Cup Shoot Cup」かなって思って。
沖野あー、なるほどね。
小川最初のワンコード・ブルージー・パターンのところはもうディープ・ブルースみたいな感じになればいいんだなってなったんだけど まぁそこからもうシャウトし始めたから(笑)あららって。
沖野(シャウト)し始めたって(笑)
小川(笑)やってて楽しかったです。
沖野しかも朝作ってたっていう?仕事行く前に。
小川そうそうそうそう。朝4時に起きて。
与田4時(笑)
沖野4時なんだ?
小川それでコーヒーとか飲みながら5時から始めて。休日前だけど子供が起きてくる9時ぐらいまでやると割りと進むんだよね。
沖野へーえ。
小川で、部屋で流してると子供が来て踊ってたりして。
INDIANSUMMER 島村おしゃれな子ですねー。
小川聴かせてるものがかなり偏ってるんでね。
沖野上の子だよね、今いくつだっけ?
小川6歳。小1だから。
沖野小1?あ。石田くん家(Venus Peter)と一緒なんだね。
小川割りとこれカッコいい! ってのが当たってるの。
沖野へへっ(笑)そっかぁ。